競馬で最強の牝馬は? 過去のレースと共に振り返る栄光の5頭!

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定量戦で同じレースを走る際は
2キロのハンデ差があるように、
古くから牡馬と牝馬の間には
明確な能力差があると考えられていましたが、

近年は生産・調教技術の著しい進歩もあって
牡馬相手にGⅠを勝利する牝馬も
珍しくなくなりました。

それと同時に
牝馬が年度代表馬に輝くことも多くなり、
今や『牡馬>牝馬』といった図式は存在せず、

2キロの斤量差を考えると同等かそれ以上で
考えた方がいいのかもしれません。

今回はその牝馬の中でも、
牡馬のトップクラス相手に互角以上のレースを
見せてくれた『歴史的名牝』5頭を、
そのレース映像と一緒に紹介していきたいと
思います。

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競馬で最強の牝馬たちをレースと共に紹介!

牡馬相手にGⅠで互角以上のレースを
見せる牝馬に共通するのが、
展開利を活かした偶然の勝利ではなく
正攻法の『力勝負』で勝利したという点で、
まさしく本当に高い能力がなければ
できない芸当だと言えるでしょう。

ここでは各馬の代表的な活躍を見せたレースを
3つずつ簡単なレース解説と共に
紹介していきたいと思います。

1.ジェンティルドンナ

① 2012年ジャパンカップ

牝馬三冠を達成した勢いそのままに迎えた
強豪牡馬相手のジャパンカップでは、
凱旋門賞で勝ちに等しい2着だった
『ワールドクラス』オルフェーヴル
待ち構えていましたが、
激しい叩き合いの末にこれを制して
勝利したのはジェンティルドンナでした。

岩田騎手の騎乗は物議を醸しましたが、
馬自身の強さは全く疑うところのない
強い勝ち方だったと思います。

 

② 2014年ドバイシーマクラシック

ムーア騎手を背に前年のリベンジに燃えた
ドバイシーマクラシックでしたが、
直線前が壁になり絶体絶命のピンチに
陥ったにもかかわらず、
華麗な『横っ飛び』で外に切り替えると
あっという間に前を捉えて
牝馬初の同レース制覇を飾りました。

この牝馬とは思えない『強靭な精神力』
があったからこそ、
GⅠ7勝の記録を残せたとも言えそうですね。

 

③ 2014年有馬記念

前走のジャパンカップで
前人未到のジャパンカップ三連覇を逃し、
衰えが心配された中迎えた有馬記念でしたが、

初騎乗の戸崎騎手を鞍上に正攻法のレース
を見せたジェンティルドンナは
まさに盤石の勝利で自らの引退に
花を添えることになりました。

誰がの乗っても意のままに動ける
『操縦性の高さ』と『気性面の素直さ』
があったからこその有馬記念勝利であった
と言っていいと思います。

2.ウオッカ

① 2007年日本ダービー

他の17頭は世代を代表するトップクラスの
牡馬ばかりの中でも堂々としたレース運びで、
直線馬場の真ん中を真一文字に伸びて
後続を突き放した圧倒的な末脚は、
まさにダービー馬にふさわしい
素晴らしいものでした。

その後の活躍で、この『64年振りの偉業』
の価値がさらに大きいものになったのは
間違いなさそうですね。

 

② 2009年安田記念

ディープスカイとの『新旧ダービー馬対決』
となったこの安田記念で、
スムーズに抜け出したディープスカイに対して
ウオッカは残り200mまで周囲を囲まれて
完全に見動きが取れませんでしたが、
そこから強引に馬群を割って抜け出すと
あっという間に前を捉えて
連覇を達成しました。

もし普通に走っていたらどれだけ後続を
突き放していたのかを考えると、
まさに末恐ろしいまでの強さを感じた
驚異的な末脚だったと思います。

 

③ 2008年天皇賞・秋

上の2レースはウオッカの強さのみが
目立ったレースでしたが、
この天皇賞・秋はダイワスカーレットの
驚異的な粘りによってウオッカの評価が
さらに押し上げられることになったレース
と言っても過言ではないでしょう。

最強牝馬2頭の負けられないプライドが
極限までぶつかり合った至極の名レース
として後世まで長く語り継いでいくべき
レースだと思います。

3.エアグルーヴ

① 1998年札幌記念

前年の札幌記念が牡馬との力差を計るために
出走したレースでしたが、
この1998年の札幌記念は
ただただエアグルーヴの圧倒的能力を
誇示するためだけのレースとなったのは
間違いないでしょう。

後に札幌記念は好メンバーが揃い
GⅠでも活躍する馬を多く輩出する
『出世レース』となりますが、
その道筋を作ったのはエアグルーヴであり
その功績はもっと評価されるべきでは
ないでしょうか。

② 1997年ジャパンカップ

前走の天皇賞・秋では先に抜け出した
バブルガムフェローに対して
外から襲い掛かる形のレースでしたが、

このジャパンカップで見せた
前々から早め先頭で粘り通す
正攻法の競馬内容は、
負けはしたものの間違いなく現役最強馬
であることを証明するものでした。

このジャパンカップでの好走があったから、
エアグルーヴには『女帝』の名が与えられ
多くのファンに『名馬』と認められたのでは
ないでしょうか。

③ 1995年いちょうS

 

エアグルーヴを語る上で絶対に外せないレース
として多くのファンの中でも有名で、
直線で前をカットされた結果
大きくバランスを崩して勝負圏内から脱落
したように見えましたが、

そこからもう一度体勢を立て直して
前を猛追すると最後は余裕を持って交わして
勝利を飾りました。

普通の馬であれば
間違いなく後の競走生活に影響が出るくらいの
大きな不利でしたが、
2歳の時点でそれを克服するだけの強靭な精神力
があったからこそここまでの存在になれた
のではないでしょうか。

4.ダイワスカーレット

① 2007年桜花賞

チューリップ賞では直線での末脚勝負で
ウオッカに後れを取った同馬でしたが、
本番桜花賞では安藤勝騎手が
ウオッカを待つことなく仕掛けて
持久力勝負に持ち込み
長くいい脚を使っての完勝で
最初の1冠を手にしました。

ウオッカが並びかけようとしたときに
馬のお尻でその出鼻をくじくような
際どい牽制を見せた、
安藤勝騎手の反則ギリギリのテクニック
も必見です。

 

② 2007年秋華賞

休み明けで臨んできた
ダービー馬ウオッカに対して、
前哨戦のローズSを使って万全の態勢
で臨んだダイワスカーレットにとっては
絶対に負けられない1戦で、

実際のレースでは
ウオッカに並ばせることさえも許さない
完勝の内容で直線対決に勝利しました。

本当に強い先行馬は簡単には崩れない
ということを自らのレースをもって証明した、
注目度はさほど高くないですが
非常に強いレースだと思います。

③ 2007年有馬記念

同年のウオッカとの直線対決に
2戦1勝とGⅠレースで勝ち越し、
前走古馬相手にエリザベス女王杯を
完勝したにも関わらず、
人気の面ではウオッカの方が上でしたが、

強豪牡馬相手でもこれまで通り先行して
直線確実に伸びる競馬を見せると、
勝ったマツリダゴッホに内を掬われる形
にはなりましたが、
他馬は完封する非常に強い内容の2着でした。

これまで走っても人気面で後れを取っていた
ダイワスカーレットが、
本当の意味で『一流馬』として認められた
ターニングポイントとなったのが
この有馬記念だったと思います。

5.ヒシアマゾン

① 1994年クリスタルC

ヒシアマゾンの競走生活の中でも
最もインパクトの強いレースとして有名で、
先行して直線も失速せず最後まで伸びている
2着タイキウルフを自らの末脚だけで
完全に交わし切ってしまった、

まさに常識では考えられない
『破壊的な末脚』を初めて披露したレース
といえるでしょう。

路線による使い分けが顕著な今では
もう見られることはないでしょうが、
1200mの重賞を勝利してなおかつ
2500mのGⅠでも連対したのも、
時代背景を考えれば名馬の証明
言っていいかもしれませんね。

② 1994年エリザベス女王杯

それまで圧勝に次ぐ圧勝を飾ってきた
ヒシアマゾンにとって、
ゴール前3頭の激しい叩き合いで初めて
『勝負根性』が問われたレースでしたが、
ここでもチョウカイキャロルとの
デッドヒートをハナ差制して
重賞6連勝でGⅠ2勝目を飾りました。

どんなペースでも、どんな相手関係でも
自らのスタイルを崩すことなく
『直線勝負』に徹した中館騎手との絆も、
間違いなく『名コンビ』と言っていいもの
だと思います。

③ 1994年有馬記念

この年の競馬ファンの話題の中心は
牡馬三冠を達成したナリタブライアン一色
となっていましたが、

3歳4冠を目指して有馬記念に
出走してきたナリタブライアンに対して
同じ3歳ながらただ1頭勝ちに行く競馬を見せ、
直線突き放されたものの3着以下を完封した
ヒシアマゾンの走りもまた称賛されるもので
強いレースだったと思います。

この有馬記念での敗戦があったからこそ
ヒシアマゾン自身もさらにレベルアップして、
翌年秋の活躍に繋がったのは
間違いないと思っています。

競馬で牝馬の偉業

上記で紹介した牝馬は
それぞれが偉業を達成した馬
と言っても過言ではない存在ばかりですが、

その中でも競馬界の歴史に残るような偉業
を達成したのが以下の3項目となります。

過去にどんな牝馬も成しえなかった
この3頭が残した実績こそ、
近年の牝馬の活躍の『礎』
となったものかもしれませんね。

 

JRAの年度代表馬に選ばれたウオッカ

出典:http://prc.jp/jraracingviewer/http://prc.jp/jraracingviewer/

同年春に安田記念を制しており、
他にもヴィクトリアマイル2着、
ジャパンカップ3着など年間を通して
GⅠで安定した成績を残していましたが、
これだけでは他の活躍馬と比べても
それほど大きい差はないでしょう。

やはり同馬を年度代表馬に押し上げたのは、

ダイワスカーレットとの『頂上決戦』

を制した天皇賞・秋での勝利が
非常に大きく影響していると思います。

全馬にとって厳しいペースで
本当に強い馬しか勝ち負けに加われない中で、
ゴールでは僅か2センチ差で勝利し
レコードタイムのオマケつきであれば、
現役最強を証明するには十分すぎるもの
と言っていいのではないでしょうか。

翌年もGⅠ3勝の活躍で
2年連続年度代表馬の座に輝いたウオッカは、
まさに日本競馬史に燦然と輝く歴史を残した
『スーパー牝馬』というべき存在なのは
間違いないでしょう。

2008年の有馬記念を制したダイワスカーレット

出典:http://biz-journal.jp/gj/

天皇賞・秋である意味ウオッカより
強烈なインパクトを残した
ダイワスカーレットでしたが、

その次走である有馬記念で見せた走りは
牝馬の枠を超えたとてつもない強さを
見せ付けたものでした。

それまでは

前半を少し速いペースで逃げ、
中盤をスローに落として息を入れ、
直線で再び加速して突き放す

といった逃げで好走を続けてきました。

しかし天皇賞・秋とこの有馬記念では、
自ら道中淀みない流れで逃げながらも
直線でさらにもう一伸びするといった、
付いてきた馬の方が潰れてしまう
容赦ないペースで逃げた結果、

早めに動いてきた人気馬が
軒並み人気以下に沈んだのと同時に、
2~4着を人気薄の人気馬が占めたのが
何よりの証明でしょう。

『来るなら来い!』

といった牡馬顔負けの本物の強さ
を持っていたのが、
このダイワスカーレットという存在
だったと思います。

17年振りの天皇賞制覇を達成したエアグルーヴ

出典:http://dinof.blog81.fc2.com/

それまでもプリティキャストを筆頭に
牝馬で天皇賞を制した馬はいましたが、
それらは展開の助けや有力馬の自滅
といった要因が重なってのものが
多かったですが、

正々堂々とした誰が見ても文句なしの内容
牡馬相手に初めて天皇賞を制したのが
このエアグルーヴでした。

当時3歳のサイレンススズカが
その有り余るスピードで大逃げを打ち、
力のない馬から脱落していくサバイバルレース
となった中で中団に待機したエアグルーヴは
バブルガムフェローを前に見てしっかり折り合い、

直線に入って外から早々にこれに並びかけると
残り200mを切った辺りでクビ差ほど前に出て、
後は決して前に出させることなく
互角以上の叩き合いの中で勝利し、
17年振りの偉業を達成しました。

武豊騎手に岡部騎手という、
日本を代表するトップジョッキー2人の
フェアでありながら

『負けられない!』

といったお互いの非常に高いプライドも
この名勝負をより彩るものになったのは
間違いないでしょう。

まとめ

牝馬と言うとどうしてもその後に控える
『繁殖牝馬』の生活が待っていることから、
過去には仕上げの面などでなかなか牡馬と
互角に渡り合うのが難しい面もありましたが、

それでも近年これだけ多くの『名牝』が
大舞台で結果を残しているのは
日本競馬のサラブレッド全体が
それだけ大きくレベルアップした
ということの証明にもなると思います。

人間の世界でもそうですが、
本当に強い牝馬(女性)は精神的にも
はるかに牡馬(男性)と比べてドッシリと
していることが多いため、

そういったタイプを見つけた時は
逆らわず素直に従っておくことを
おススメしておきたいと思います(笑)。